風邪を発症することを「かぜをひく」といいますが、「かぜになった」とはあまりいいませんね。よく考えれば、妙な言葉だと思いませんか?

普通「胃潰瘍になった」「怪我をした」といいます。
驚くべきことに自分でも気づかないうちに、皆さんは漢方医学的な発想をしているのです。風に乗って、もともと外にあった「邪」が体内に侵入することを「邪を引っ張り込む」ということで「風邪をひく」と表現しているのです。

一般に風邪をひきやすい人は、基本的な体力が不足していて、すぐに疲れる「気虚(キキョ)」(詳細は前号参照)の傾向があります。

すなわち、自己免疫力が弱く、風邪だけでなく、いろいろな外からの邪による病気(様々な感染症)にかかりやすいとされます。このような人は、常日頃から漢方薬などを服用して、精神・身体的に丈夫になっておくことも大切です。

漢方医学的にはいろいろな考え方がありますが、まずは、「人参(ニンジン)」「黄耆(ジンギ)」(あわせて「参耆(ジンギ)剤」といいます)を含んでいる漢方薬で体力を補ってあげることをよくします。

虚弱ぎみで胃腸があまり強くない場合によく用いる『補中益気湯(ホチュウエッキトウ)』は、その代表格です。風邪症状は軽いが何度も繰り返し、あわせて精神不安・不眠がみられるときは『柴胡桂枝湯(サイコケイイシトウ)』も併用したりもします。

また、子供の頃から中耳炎や扁桃腺炎をよくおこして、副鼻腔炎(ちくのう)で耳鼻科通いをしていた経験があり、成人してからも、ちょっとしたことで風邪をひいていつもグズグズするといったタイプには『柴胡清肝湯(サイコセイカントウ)』などを普段から服用されると、風邪がひきにくくなることは漢方医学的に知られています。

漫然と「かぜには『葛根湯(カッコントウ)』」をお飲みになっている方は、ご自分の体質にあった薬で「未病」(テレビのCMにも出ていますが)に対する策を講じてもいいのではないでしょうか?