今回はインフルエンザと漢方薬に関するお話です。

世間では抗ウイルス薬なるものが浸透しているかと思いますが、長い歴史の中で当時のインフルエンザと予想される疾病が流行するたびに戦ってきた漢方医学はこれまでと同じように、その役割を果たすことが出来るのでしょうか。

インフルエンザの治療には、『麻黄湯(マオウトウ)』をはじめとする漢方薬が『傷寒論(ショウカンロン)』(漢方医学の古典)には多く用いられていました。
これらの処方は、多くの場合、有効ですが、『傷寒』という病状はインフルエンザと似てはいますが同じではないようです。『傷寒』はインフルエンザの特殊な形ではないかと推定されています。

A型・B型に対する『麻黄湯』と抗ウイルス薬をそれぞれ単独に投与した比較では、『麻黄湯』は抗ウイルス薬と同等の効果があり、特にB型では『麻黄湯』の効果の方が優れているという結果が出ています。
また、『麻黄湯』を抗ウイルス薬に併用することで、抗ウイルス薬のみよりも、解熱に要する時間が短かくなり、かつ頭痛や全身倦怠感が続く日数も短くなったという報告も出ています。

抗ウイルス薬との併用は、通常の解熱薬(西洋薬)よりも『麻黄湯』との併用の方が治るまでの日数が短く、『麻黄湯』を治療の初日に4~5回(通常量の薬3倍)飲んでもらうとこの効果はさらに増すとの報告もありました。
ただし、インフルエンザを漢方薬で予防できるという報告は今のところありません。

しかし、漢方薬の理論から「風寒の邪(ジャ)」を身体に進入させない処方を考えて継続して飲んでもらうことで、あるいは予防できるかもしれません。

現代の我々は、インフルエンザに対し、マスク着用、うがいの励行などの一般的な予防法、ワクチン接種や抗ウイルス薬服用など、医療的手段による予防と治療など多くの手段をもっています。
この中に漢方医学による治療をうまく組み込めれば、従来よりもかなり有効な対処法になるかと思われます。