今回の患者さんは、「何となくあちこち調子悪い」という訴えの方です。

『42歳、Fさん、女性。胃痛、頭痛、肩こりがある。仕事に対する不満もあり、「やってられない」とこぼし、友人に漢方でもと勧められて来院。』

Fさんは、確かにお話を聞いても仕事のストレスが原因していることは分かりました。

内科や脳神経外科でも特に異常はないと云われたようです。こんな方は結構いらっしゃいますよね。ストレスが原因で症状が現れている場合、ストレスそのものを取れないにしても軽減してあげなければなりません。

さて、東洋医学的にはストレスで身体に変調をきたすのは、いわゆる「気の異常」です。「胃痛」をこの状態が原因と限れば、「気うつ」(詳細は以前の号を)によるものと推測されます。では、「頭痛」はどうでしょう?これも「気の異常」が原因とすれば、「気逆」ですね。

以前にもお話したように「気逆」は気が下から上に上昇し、上に充満して熱などが発生することもあります。イライラして頭痛が起こるのは、この状態に近いでしょうね。Fさんの「肩こり」も「お血(オケツ)」(詳細は以前の号を)によるものではなく、「気逆」で説明がつきます。

つまり、「胃痛・頭痛・肩こり」の3つのキーワードから「気の異常」にしぼってとらえると「気うつ」「気逆」という診断に行き着いたことになります。

もっというと、「気逆がメインでそこに気うつもある」ということになります。となれば、漢方薬はいわゆる「気逆」に対応する生薬の中でも「気うつ」にも対応していればより良いということは当たり前ですよね。いいですか。漢方薬って勘で選ぶものじゃないのです。

選んだからには、「○○という状態」を分析していないといけないのです。そうでなければ、「頭痛」一つにしても、漢方薬は決められません。『頭痛に○○』というキャッチフレーズは漢方薬には通用しないのです。漢方医学は薬を決めるのが大切なのではなく、患者の状態を分析する過程がカギです。これが実行されれば、薬は自ずと決まるはずなのですから。