最近は、街角のドラッグストアーで、感冒薬のドリンクを買い求めようとすると、「葛根湯」「桂枝湯」「小青竜湯」などがずらりと棚に並んでおり、漢方薬が多いのに驚きます。

需要が出てきたというわけでしょうが、このことは日本人が本来は漢方薬に親しみを感じていることを想像させます。しかしながら、漢方に対するイメージは、アンケート調査によると、「即効性がない感じがする」「何ヶ月も我慢して飲まなければならない」「効き目が弱い、漢方だけでは不安」といったマイナスイメージもあるのは事実です。私自身も医師になって1年目の頃は同じことを感じており、漢方は効く時とそうでない時、いわゆるアタリハズレが多いというあいまいなイメージを抱いていました。

医師になって間もない頃、生理痛がひどい患者さんで鎮痛剤の薬アレルギーがある方でしたので、漢方を処方したところ、劇的に効いて大変感謝された経験がありました。

調子に乗って他の患者さんにも同じ漢方を処方したところ、全く効かない人、むくみがひどくなった人、そこそこ効く人と様々で「なぜなのか?漢方は効く時がラッキーなのか?」と悩みました。

しかし、それは漢方を処方する、選択する方法そのものに誤りがあったことにやがて気がつき、東洋医学的な判断材料から薬を選ぶ大切さを学びました。

例えば、ある患者さんに「月経困難症」という病名がついたとしましょうか。西洋医学的には、鎮痛剤とか低用量の女性ホルモン剤を処方されることが多いでしょう。たいていの方は効果がある程度あるかと思います。

しかし、副作用の強く出る方、無効な方もいらっしゃるでしょう。では、その方々は我慢するしかないのでしょうか?このような方々こそ、漢方つまり東洋医学的アプローチが有効な場合が多いのです。どうしてでしょうか?

それは、東洋医学は「月経困難症」という病名を診断するのではなくて、人の状態(証といいます)を診断するところにポイントがあります。

本来、「月経困難症」という病名がついた方でも、状態が人によって異なっているはずです。よく話を聞くと「冷え」があったり、「むくみ」があったり、「便秘」があったりします。東洋医学では、「中庸(ちゅうよう)」というベストコンディションにもどすという考えがありまして、そういう状態に連れ戻せば、自ずと病気も良くなるという理屈なのです。ですから、「月経困難症」でも体内の水分異常で、むくみが前面に出ている人には、生理痛をとる点よりも、むくみをとる点に注意して漢方を処方することがあるわけです。

同じ病名の二人の患者がいて、西洋医学的には同じような薬を処方されるケースでも漢方で治療するとなると全く違う種類の薬が選択されるケースが生じます。

実は当たり前だと思いませんか?生理痛一つ考えるにしても、全員が同じ状態とは到底考えにくいですよね。精神的に疲れている人、肩こりのつらい人、胸のつかえのある人、いろいろな状態になって生理痛もつらいという可能性があるのですから、その方に合った薬も異なるのは当然の感じがしませんか?

漢方が最近世界的に注目されているのは、このように個別的医療(テーラーメイド医療)に漢方が即しているからなのです。となると、不定愁訴の多い女性医学に関しては、まさに漢方はうってつけということになるますね!