『小建中湯(ショウケンチュウトウ)』は以前の号でも紹介した漢方薬ですが、昔からよく子供に使われていた薬です。食が細く、しょっちゅうお腹が痛いと云っては、学校や幼稚園に行く前にぐずるような子によく効きます。子供に効く場合は飲み始めると数日で食欲が出て、ぐずぐずいわなくなるから不思議です。

この薬は甘くて漢方薬の中では飲みやすいので、よく親が子供を連れてきて「漢方薬で治したい」(時には無理難題もありますが)という場合に、まず飲んでもらわなければ話になりませんから『小建中湯』を処方することがあります。こういう処方の仕方は不本意なのですが、意に反してよく効いてしまう症例が多いですね。

『小建中湯』を飲んでもらっているお母さんが「アレルギー性鼻炎で耳鼻科に通院中。とにかくお腹が痛がるし、食べない。おねしょが治らない。風邪もひきやすい。」という8歳のお子さんを連れてきました。以前、風邪を引きやすい子に最初に出した漢方薬がなかなか効かなくて、『小建中湯』を出して有効だった症例をふと思い出しました。

この親子は共に「食が細い、お腹をこわしやすい」という共通点があったので、まさしくこの漢方薬がよく効くタイプでした。数ヶ月たって「お子さんのアレルギー性鼻炎の具合はいかがですか?」と何気なく聞くと、「食欲がでてきて最近よく食べるようになってから症状もいいんですよ」との事。

ふつうはアレルギー性鼻炎を『小建中湯』で治そうという先生はあまりいないとは思いますが、やはり「食べる」ということの重要性なのでしょうね。それ以来、この薬で「風邪が引かなくなった」とか「生理痛がよくなった」とか「口内炎がよくなった」など様々な効果を実感します。

二年もたつとこの親子も自分のペースを獲得したようで、勝手に症状にあわせて分量も調節して飲んでいるようで、今では私は薬を処方するだけです(苦笑)。