『15歳Hさん。母親が娘の朝のトイレが長く、便秘を心配して学校の帰りに本人と一緒に来院。毎朝、母親にイライラがちにトイレ時間が長いことを指摘されて、本人もうんざりのご様子。漢方薬がいいのではないかという事での相談。』

学校のトイレが入りづらくて、我慢しているうちにひどい便秘になったという話は中・高校生によくありますが、Hさんの話を聞いてみると、そういう類の便秘とはちょっと違うようでした。

硬い便が出にくいのではなく、朝トイレに行くとある程度の量の便は出て、そのあと便が出きらなくて、まだ出そうな感じが残るのだそうです。そのためにトイレで踏ん張っていると、少し細い便が出るのですが、まだ出そうな感じがして、いつまでも気になるようです。

多量の便が一度に出て、お腹がすっきりするわけでもなく、残便感がする・快便感がないということなのですが、「そのまま学校へ行くと、たいてい午前中にまた出したくなって、トイレに行くんですけど、ちゃんと出ません。」と本人の弁(笑)。

そんなこんなでHさんは、家を出る前に便を出しておこうと一生懸命なのです。その結果、トイレに長くたてこもることになり、母親に指摘されるという始末です。

Hさんにベッドに横になってもらい、おへその上あたりを軽く叩くと、腹直筋がピンと張ってくるのがわかりました。これは東洋医学的には「芍薬(シャクヤク)」という生薬が有効というサインです。

そこで、『桂枝加芍薬湯(ケイシカシャクヤクトウ)』を処方しましたが、とてもよく効いたようで、一日三回飲むとあまりゆるくない便が、朝どっさり出るとの事。いっぺんに出て「はい、終わり」なので、当然トイレに長くいる理由がなくなってしまいました。

三ヶ月ほどは一日に三回飲んでいましたが、その後は朝夕だけになり、そのうち、朝二袋飲んで学校へ行くようになりました。こういう飲み方は薬が効く時には自分で工夫できるようになるものなのです。

Hさんは高校受験が終わると、あまり薬は要らなくなりました。受験がかなりのストレスだったのでしょうか。

その後は、お腹が冷えて便秘になることで一度来院されましたが、お腹を温める『大建中湯(ダイケンチュウトウ)』を二袋をいっしょに飲んでもらうことで解決しました。その後は自分のお腹を自分で触って『桂枝加芍薬湯』を自分のペースで飲んでいるようです。