『28歳女性Pさん。内科で「慢性疲労症候群」というありがたくない病名をもらった方のお話です。

Pさんの病歴は大変だったようで、首のリンパ節が腫れ、高熱が続き、大学病院を紹介されて入院後、高熱は2週間でおさまるも、微熱がずっと続いてこの1年位体温が下がっていない。抗生物質やステロイドなども使用したが、症状は変わらない。
主治医からは「慢性疲労症候群」と宣告?され、体調を良くして気長につきあうようにと言われたとの事。漢方薬局で『小柴胡湯(ショウサイコトウ)』と『人参養栄湯(ニンジンヨウエイトウ)』がいいのではと勧められ、購入して飲んで3週間でだるさがとれた気がする。しかし、微熱は変わらず、当院に来院。』

Pさんは熱以外には、つばを飲み込むとツーンと耳が痛くなったり、下痢と便秘を繰り返したり、鼻づまり・頭痛・肩こりなどもありました。

注目したのは、お腹の筋肉の張りがなく、お臍の横下に動脈の拍動が触れる点(東洋医学では「臍上悸(サイジョウキ)」といいます)でした。

病名にこだわらずに、症状から薬を決めるのが漢方医学ですが、Pさんの症状自体は単純なので『柴胡桂枝乾姜湯(サイコケイシカンキョウトウ)』を処方し、薬の効き目をみながら考えることにしました。

症状からみれば当然なのでしょうが、これほど容易におさまるとは思いませんでした。

2週間後には、熱としては5分位下がり、熱っぽさと疲れやすさがなくなり、はっきりした変化が現れました。飲み始めて最初の生理のあと、基礎体温の低温相が久しぶりに現れて、気分もすっきりしたようです。熱が下がるのが自身ではっきりわかると、安心したせいか、ぐっすり眠れるようになり、朝の目覚めもいいようです。

Pさん曰く「慢性疲労症候群といわれて、医者に治らない病気と言われたときはショックでした。でも私は良くなったんですよね。医者はどう説明するんでしょうか。」
これには、私も何と答えたらよいやら困ってしまいます。病名をつければいいというものではないし、医療従事者としては責任を感じてしまいますが…。