『48歳Sさん。十代からの片頭痛?との事で、閉経後から一ヶ月に一回の割合で嘔吐を伴う激しい頭痛発作が出現し、近医の病院にて入院、精査したが、異常所見なしということで来院。』

 Sさんは確かにほぼ閉経に近い状態で、頭痛・吐き気に関しては、前医で片頭痛薬・制吐剤が処方されていましたのでそちらを継続してもらい、めまいに対して『半夏白朮天麻湯(ハンゲビャクジュツテンマトウ)』を始めてもらいました。

その後、めまいはありませんでしたが、隔月で非常に激しい片頭痛発作がみられるようになり、片頭痛の漢方としては定番の『呉茱萸湯(ゴシュウトウ)』を処方しました。飲むと、胃のあたりが傷むため中止してもらいましたが、何度かお話している中で、本人が水分を取りすぎると吐き気がひどく、頭痛発作が起こりやすいし、元々汗が出にくいと言うので、「水毒(スイドク)」(以前も紹介)に注目して『五苓散(ゴレイサン)』を飲んでもらうことにしました。これが一番効いたようで、片頭痛の発作までもおさまり、吐き気も出なくなりました。

 『五苓散』は以前の号で「二日酔いの頭痛」に有効なことはお話しましたが、基本的には「裏熱(リネツ)」(身体の内部に熱がこもる)に使う薬です。Sさんも「裏熱」の症状がある場合、『呉茱萸湯』は逆に不都合なことが起こりやすい可能性があります。体質的には夏場に調子が悪い方が多いので、本人はあまり夏は水分を取らないとお話していました。

 このように、水分が身体に偏在することで、吐き気を生み、結果的に片頭痛を誘発するという東洋医学的診断になるわけですが、「水毒」の人は夏場に悪化する傾向があり、秋頃から症状が少し良くなる人もいらっしゃいます。Sさんも昨年の秋からは、手足の冷えが気になるというので、現在は「冷え」を主治する漢方薬に切り替えています。春先からは『五苓散』がまた必要になってくるかもしれませんね。