今回から、女性のいろいろな症状に対して漢方がどのように使われるか、と同時に漢方の考え方を簡単に解説していきますので、漢方医学をより身近に感じていただけたらなぁと思います。

漢方医学では「気・血・水」という私たちの体を構成する三大要素の考え方があります。

「気」は生命活動をつかさどるエネルギー、「血」は血液の働きや流れ、「水」はリンパ液、尿、汗といった血液以外の体内の水分を意味し、これらが滞りなく全身を巡っている状態が最良と考えられており、漢方診療ではこの3つのどれが障害されているかを調べます。

生理に伴う不快な症状の代表として、下腹部痛、腰痛、吐き気、頭痛、脱力感などの身体症状のほかに、イライラや憂うつなどの精神症状があります。よく生理の1週間位前から起きて、生理とともに症状が良くなる方がいますが、これを月経前緊張症といい、程度の差はあるものの全女性の約50%が経験しているといわれています。

では、生理痛はなぜ起こるかというと、子宮の収縮が一番の原因と考えられています。その収縮は血液を外に出して子宮の中をきれいにして次の周期に備えるわけですから、必要なことですね。でも、ツライものはツライし、御本人しか分かりません!

漢方医学では、生理痛を子宮が収縮したときに周りの血液の流れが悪くなるお血(おけつ)として「血」の異常とみる考え方があります。生理の前は血液がたまっている状態ですから、それこそお血なのです。

となれば、ふだんからお血をとっておけば、子宮の収縮が起きても血液が周りにあまりたまってないので、生理の出血も少なくなるし、当然子宮の収縮があまり強くなくても子宮の中がきれいになるということですよね。

つまり、お血をとる漢方薬を基本に考えるケースが多くなるわけです。しかし、痛みのほかに、不安、イライラ、あせりなどの精神症状が強い方には、「気」の異常としてもとらえてあげなければなりません。

そういう場合には、お血をとる効果とさらに気をめぐらせる効果の両方を併せ持つ薬が最適となります。足がパンパンにむくむのであれば、「水」をさばく効果のある薬の併用も考えます。生理痛がそれでもつらい方には直接的に子宮の収縮をやわらげる薬を生理の2?3日前から飲んでもらったりもします。

このように、漢方薬が患者さんによって違うのです。よく、「知り合いの人が○○でよくなったから、私にもお願いします。」という方がいらっしゃるのですが、これでおかしい理由がお分かりですよね。

このように上手に漢方を使うと、単なる痛み止めとはことなり、体の状態が良くなることも患者さん側のお話に出てきます。つまり、女性のQOL(生活の質)を上げることに漢方が役立つことがあるわけです。(次回は?冷え?の予定です)