『24歳Nさん。北見で就職し、一人暮らしを始めた頃より体調を崩した。札幌で就職したが、辛くてたまらなく退職。この1~2年は1日中寝たきりの生活に近く、精神科にも通院中。外出時や対人時に異常に緊張し、不安神経症やうつ症状もあると本人が訴える。家族とともに来院。』

 初診時のNさんは痩せて青白い顔で、身体はとても冷たく、むくみもありました。血液検査では貧血はありませんが、東洋医学の立場では、「裏寒(リカン)」(身体の内部の冷え)がしっかりと認められましたので、『真武湯(シンブトウ)』を処方し、身体を温め、代謝を高めて気分も変わることに期待しました。

2週間飲んで、顔色が良くなり、足取りも良くなりましたが、相変わらず気分がすぐれず寝たきりに近い生活をしており、生理痛があり、頭痛もあるとの事でした。

 下痢はなく、食欲もあるものの、手足の冷えとお腹のガスが溜まりやすいようなので、『当帰四逆加呉茱萸生姜湯(トウキシギャクカゴシュユショウキョウトウ)』『大建中湯(ダイケンチュウトウ)』も一緒に飲んでもらうことにしました。

3週間後、外出すると異常に疲れるとの事でしたが、身体を動かしやすくなり、頭痛はなく、気分が良いとのことでしたので、続けて飲んでもらうことにしました。数ヶ月後に来院したときは、体調も良くなり、専門職の試験勉強を始めているようで、今後も漢方薬は飲み続けたいという希望でした。

 一般的ではありませんが、温裏剤(身体の内部を温める薬)である『真武湯』がいわゆる以前の呼び方の「自律神経失調症」に効果があることがしばしばあります。Nさんのように、著しい体調不良、冷えに加えてむくみ、ふらつきに対して良い効果が得られることは私自身も多く経験しています。