お年寄りの治療ではもちろん基礎疾患の治療と管理が最優先ですが、一段落してくると治療内容もマンネリ化しがちです。プライマリーケアを担う医療スタッフとしても、患者さんにはますます元気になって「元気で健康な病人?」を続けてもらいたいと願っています。今回は、お年寄りに処方したい漢方薬について、少し解説します。

 特に問題がないと思われるお年寄りで、何となく、眼の生気が落ちて言葉の調子にも覇気のみられない場合などには、『補中益気湯(ホチュウエッキトウ)』が効果的です。お年寄り全員に処方しても全員に効果があり、消化機能を調整して体力増強する漢方薬です。ある先生は「漢方薬のリポビタンD」と称して頻用されています。

 胃腸機能の低下が強く、食欲がないため、食事の時間も不規則で次第に全身の活力が低下しつつある方には、『六君子湯(リックンシトウ)』をお勧めします。便秘ぎみでも下痢ぎみでも構いません。胃腸機能の改善から全身状態の改善が期待できるお薬です。

 疲れやすく、足腰が冷えたりしびれたり、夜間の頻尿があったり、目のかすみを訴える方には、『牛車腎気丸(ゴシャジンキガン)』が有効なことが多く、特に糖尿病や前立腺肥大を伴っている場合に著効例が多いです。

 

 新陳代謝が低下したために起こってくる諸症状を改善してくれる代表的な漢方薬は『真武湯(シンブトウ)』がありますが、特に手足が冷たく、顔に生気がなく、下痢・腹痛の消化器症状が続いている方にお勧めです。

 怒りっぽくてイライラが多い方には、『抑肝散(ヨクカンサン)』が最近注目されている漢方薬で、かつのぼせがあって頭がカッカする方には、『黄連解毒湯(オウレンゲドクトウ)』が有効です。これらのお薬を飲んでいると、脳循環改善効果により食欲が出てきたり、精神状態も改善し、ウルサイ?お年寄りが、普通?のお年寄りに変わるようです。

 これからの夏場の猛暑の時期には、お年寄りに是非内服していただきたい漢方薬の一つに『清暑益気湯(セイショエッキトウ)』があります。暑さによる体力低下を防ぎ、脱水状態に陥ることもなく食欲も低下せず、夏場を乗り越えることができると思います。

 お年寄りの投与量は一般成人より少なくても効果がありますので、朝夕2回でも十分です。この機会に一度漢方デビューして、はつらつとしたライフワークを過ごしてみてはいかがでしょうか?