今回は、漢方の診断方法の一つである「舌診」に関してお話します。

カゼの高熱や二日酔いのときなどに舌が赤くなったり、舌の苔(こけ)が厚くザラザラし黄色くなっていることがありますね。舌は身体の状態を知るための大切な指標となるのです。

「舌診」では舌そのものの形・色・乾燥度・苔のはえ具合などを観察するのですが、鏡を用意して実際に観てみましょう。舌を出すときは、舌先をやや下に向け、自然に舌を伸ばし、舌全体を十分に出してみて下さい。(食後の場合は30分以上たってから)

  1. 舌先や舌の周辺に赤い斑点がありますか?
  2. 舌全体が厚ぼったいですか?色は白い、赤い、または紫がかっていますか?
  3. 舌についている苔の色は白いか、黄色いか、または灰色・黒色ですか?また、苔の厚さはどうですか?
  4. 舌に亀裂が入っていますか?舌の周辺に歯の痕がついていますか?次に舌先をやや上に立てて、口を十分に開けて、舌の裏側を診てみましょう。
  5. 舌下の静脈が太くうねうねとしていますか?

さて、どうでしたか?赤みが少ない舌は「血虚(けっきょ)」の状態で、いわゆる血液の循環不全(例えば、指先に血が通っていない感じで、その結果あかぎれができたり、爪の色が良くないとか)でいわゆる貧血とはやや意味が違ってきます。

貧血症の人は舌全体は柔らかく白っぽいですね。舌先や辺りがイチゴ様の赤いプツプツとか、紫がかっていたり、舌下の静脈が太いときは、前回お話した「お血」という血液の巡りが悪く血液がどこかに溜まっている状態をあらわします。

舌の色は診断上かなりあてになり、赤いときは熱証、青白いときは寒証としてとらえて、冷やす・暖める薬の目安になります。舌に歯痕があれば「水毒(すいどく)」という身体の水分の偏在を意味します。最も分かりやすい例は、二日酔いで口が渇いて手足がむくむときなどです。

舌に苔があるのは、程度の差はあれ、胃などに余分の水が溜まっていることを示し、苔が厚いほど病状は重いことを意味します。基本的には熱を帯びると苔の色は白から黄色さらに黒っぽくなります。

カゼで熱っぽいときは赤い舌の上に黄色い苔がついていることが多いでしょうね。また、舌に亀裂のある場合は、気・血・水の何かが足りないときです。ですから、不足しているものを補充する漢方薬が必要になります。地図のようにまだらな舌は、神経性胃炎のようにストレスによる精神的ダメージを受けた人によく見られます。(六君子湯などがよく効きます)

人は「1日に舌を3回みると、病気が早くみつけられる」と言っていたようですが、「舌診」は漢方医学的には、証(身体の状態)をとらえる際に重要かつ簡便な診察手段なのです。