『32歳Rさん。がっちりとした体型のスポーツウーマンという印象の女性で、仕事から帰ってくると、頭痛に悩まされる。元来健康で、疲労感もないし、病気はほとんどしませんとの事です。脳神経外科でも異常は認められず、友人に漢方薬でも試してみてはと紹介されて当院来院。』

頭痛の時に、吐き気・めまいなどがあるか、イライラするか、といった質問を東洋医学では重要なのですが、Rさんは全く無くて期待?を裏切られました(笑)。

ここでくじけては漢方を扱っている医者とはいえませんので、「頭痛の時に頭や身体は冷えますか?ほてりますか?」と『寒熱(カンネツ)』(詳細は以前の号参照)に関する質問をしてみました。

すると「頭痛がひどくてわかりません」と素っ気無い返事でした。「温まるとひどくなるとか、逆に温かい食べ物が好むとか?」と聞くと、「のどが渇き、冷たい水をよく飲みます。風呂に入るとひどいです。」との事。

やっと手がかりが見えてきました。Rさんはどうも熱証タイプ、つまり身体が熱をもった状態の頭痛のようです。この熱は体温計で測れる熱ではありません。ただし、これだけでは状態が明確ではありませんので、どのような状態で起きるのか、あるいは悪化するのかを聞いてみました。

「お仕事は?」「ゴルフのキャディーです。」日中に日当たりのいい場所で仕事をして帰宅しても熱が身体にこもって、頭痛の引き金になる、つまり軽い熱中症様による頭痛が本態だったのです。しかもRさんは、この仕事について間もないとの事でした。

この方には『白虎加人参湯(ビャッコカニンジントウ)』を服用してもらい、翌日からは頭痛が軽くなり、2週間後の来院時には完全に軽快していました。

この漢方薬は、身体の熱を冷ます作用があり、熱中症(日射病)や小児の高熱などによく使用されます。夏の暑い季節に外での行動が多い方は、身体と気候のバランスに注意された方がいいですね。ちなみにゴルフ好きの友人には当日『白虎加人参湯』を携帯させて、スコアをあげるのに一役買っています(笑)。