自然妊娠の仕組みと不妊原因

妊娠の仕組み

妊娠の仕組み

  1. 卵子は卵胞という殻につつまれ、卵巣の中にあります。この中から1か月に1回、1つの卵子が大きく成長し卵巣の外へと飛び出します。排卵が起こるためには、脳にある視床下部から出ているFSH(卵胞刺激ホルモン)、LH(黄体化ホルモン)というホルモンが必要であり、正常に分泌されることで卵胞を発育させ排卵を起こします。
  2. 正常な精子とは1回の射精量が2ml以上で、1ml中の精液の中に2,000万匹以上の精子が存在し、かつ運動している精子の割合が50%以上であるものをいいます。
  3. 排卵し、卵巣を出た卵子は卵管采(ラッパ管)にとらえられ、卵管のなかに入ります。
  4. 排卵近くには、子宮の入り口である子宮頚管から粘液が分泌されます。頚管粘液は、精子が子宮に入りやすくなるよう多量に分泌されます。
  5. 膣内に射精された精子がこの粘液を通り抜け、卵管から下ってくる卵子と巡り合うことで、受精します。
  6. 受精した卵は、受精卵と呼ばれ分割しながら卵管を下り、子宮内膜にうまくたどり着くことができれば着床し、妊娠が成立します。
  7. 排卵が起きた後の卵巣(黄体)からは、妊娠を維持するように働く黄体ホルモンが分泌されます。

不妊症とは

日本では特に避妊をせず、普通の夫婦生活を2年続けられても妊娠されない場合を不妊症と定義しています。これは、通常、夫婦の90%以上が2年以内に妊娠するという事実に基づいています。過去に妊娠の経験がないものを原発性不妊、妊娠したことはあるがその後2年以上妊娠しない場合を続発性不妊と言います。 子供が欲しい夫婦にとって不妊は切実な問題です。

不妊の原因

1.排卵障害

排卵は、卵巣から卵子が排出される現象であり、複雑なホルモンバランスによって行われています。排卵障害がある方は、このバランスが崩れて排卵が起こりにくくなっている状態です。

検査
  • 基礎体温:排卵の有無やホルモン状態を把握する。(基礎体温表をご持参ください)
  • ホルモン検査:LH、FSH、E2など(排卵に関するホルモン)
  • 卵胞径超音波検査:卵胞発育を確認。頚管粘液の性状とともに排卵を予測する。
治療
  • 健康管理:規則正しい食事や運動、標準体重など、まずはできる自己管理から始める。
  • 排卵誘発剤:rFSH、HMG、クロミフェンなどの注射や内服

2.卵管因子

卵管の先に「卵管采」と呼ばれ、排卵した卵子を取り込む場所があります。取り込まれた卵子は、卵管で精子と巡り合い受精します。胚(受精卵)は、分割しながら卵管~子宮へと進み着床しますが、クラミジア感染症や子宮内膜症などで卵管が癒着、狭窄、閉塞を起こしている方はこの過程が障害されています。

検査
  • 子宮卵管造影検査(ヒステロ):子宮内に造影剤を入れて子宮内腔、卵管の状態を調べる。 ※詳しくは『不妊症検査について』をご覧ください。
治療
  • 子宮卵管造影の時、検査と同時に卵管の通りが良くなる場合があります。

3.頚管因子

頚管は、膣から子宮の内部へと通じており、排卵時期になると精子が動きやすくなるよう頚管粘液と呼ばれる分泌物が多くなります。この頚管粘液が十分に分泌されていない場合、精子が頚管を通り抜けられないため妊娠しづらくなる場合があります。

検査
  • 頚管粘液検査:排卵の時期に頚管粘液を採取し顕微鏡で検査します。排卵期には、量・透明度が増し、精子を受け入れやすい状態になります。
治療
  • 人工授精:細いカテーテルを使用し、直接子宮腔内に調整した精子を送り込みます。

4.子宮因子

① 子宮奇形

子宮は受精卵の着床場所として重要ですが、生まれつき子宮の形に問題があるため、それに伴う血流障害により、受精卵の着床や発育が妨げられることがあります。子宮の奇形は全女性の5%、不妊女性の2~3%に見られると報告があります。

子宮奇形

② 子宮筋腫・子宮腺筋症

子宮筋腫、子宮腺筋症、子宮内膜ポリープなどがあると、せっかく受精していても、この病気が原因で妊娠しづらくなることもあります。

妊娠の仕組み

③ 子宮内膜症

子宮内膜症は子宮内膜だけの問題ではなく、卵巣にもその原因がある場合には排卵障害や卵子の質の低下にも結び付く場合もあります。

子宮内膜症
検査
  • 経腟超音波検査:子宮全体や内腔の形、ポリープや子宮筋腫などの有無が分かります。
  • 子宮卵管造影:子宮内に造影剤を入れて、子宮腔内や卵管の状態を調べます。
  • 血液検査:CA125など
治療
  • 子宮内膜症
    1. 特に治療はせず、タイミング療法など自然妊娠を試みる。
    2. 痛みに対する治療→鎮痛剤、漢方の処方。
    3. 女性ホルモンを抑制する薬を使用する

      ⇒中容量ピル、低容量ピル、プロゲスチン、タナゾール、GnRHアゴニストなど
      ※内膜の状態にもよりますが、痛みなど症状軽減のため4~6か月使用します。治療期間は排卵しない為、妊娠の可能性はありません。

  • 手術療法:
    1. 腹式子宮筋腫核出術:開腹手術で子宮筋腫を取り除きます。
    2. 子宮鏡検査(レゼクトスコープ):子宮腔内に細い器具を挿入し、その先端についているカメラで、ポリープなどをモニターで見ながら取り除く手術です。

5.黄体機能不全(内分泌因子)

排卵後、卵巣には黄体ができます。黄体は体温を上昇させたり、子宮内膜を厚くし着床に適した状態にするなど、妊娠初期の維持に欠かせないホルモンを分泌します。このホルモン分泌がうまくいかないと受精卵が着床しなかったり、着床しても流産してしまうことがあります。

検査
  • 基礎体温
  • 低温期、高温期、持続期間などから卵巣の働きを見ます。
  • 高温期中期のホルモン検査 E2(卵胞ホルモン)、P4(黄体ホルモン)、プロラクチン
  • 子宮内膜の厚さを超音波検査で見ます。
治療
  • 黄体ホルモンの補充、黄体刺激のためのHCG注射、排卵誘発など。

6.男性因子

男性側の要因としていくつか挙げられます。

① 造精機能の問題

射精精液中に精子がとても少ない、見つからない場合など精子をつくる機能に問題がある場合。

② 精路の問題

精巣でつくられた精子は、精巣上体、精管を通って射精されます。その通り道が狭い、もしくは閉塞されていることで射精される精液が少なくなったり、出ないケースは『閉塞性無精子症』と呼ばれています。

③ 精液・精子の問題

精嚢や前立腺に炎症を起こしたことが原因で精子の運動率が低下している場合、受精率に影響することがあります。また、射精精液中に死んでいる精子が多い場合や形に異常がある場合もあります。

④ 遺伝子の問題

精子に染色体異常があることで受精卵にも染色体異常が起こり、受精卵が育たず流産を繰り返す場合があります。

⑤ 射精機能の問題

射精時に閉じる括約筋が閉じていない場合、膀胱側に精液が逆流してしまい射精感はあるものの精液量が少ないことがあります。この症状は、原因不明のものや、前立腺や骨盤内の手術後に見られる場合があります。

⑥ 性機能の問題

性交時に勃起しない、または勃起が維持できない場合を『勃起不全』といいます。勃起不全は『心因性』や『器質性(神経、内分泌、血管などの問題)』に大きく分けられます。なかには2つ併せ持っていたり、糖尿病が基礎疾患にある場合があるため、内科治療と並行していくこともあります。

⑦ その他

男性の場合、疲労が精子をつくる能力にも影響し、精液検査などでも4倍近く差が出ることがあります。また、飲酒や喫煙も精子をつくる機能、精子の形、運動率に影響が出るとも言われています。

7.原因不明

いろいろ検査して何も異常がないにも関わらず、どうしても妊娠しない場合をいいます。

治療
  • 人工授精:細いカテーテルを使用し、直接子宮腔内に調整した精子を送り込みます。
  • 体外受精:排卵期の卵巣から卵子を採取し、体外で受精させ、分割した胚(受精卵)を体内へ移植することをいい、媒精(Conventional)と顕微授精(ICSI)があります
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