今回は女性に限ったお話ではありませんが、お子さんをもつ母親に関連した内容です。「虚弱児」とは、 医学上の明確な定義はなく、多くは体調不良などの理由で学校を休みがちな児童・生徒に対して使われて きた言葉です。病気にかかりやすく治りにくい、発熱・頭痛・腹痛などの症状をしばしば訴える、疲れ やすく回復が遅い、神経質、無気力、発育不良などがみられる児童を身体虚弱児としてきました。

漢方医学では身体を養う働きを「気・血・水」に分けてとらえますが、このうちの「気」(目には みえない生命エネルギーのようなもの)が何らかの理由で減少した状態(「気虚」といいます)になる とウイルス感染やストレスなどの攻撃を受けやすくなり、風邪をひきやすくなったり、疲れやすくなっ たりします。「気」の供給は、出生前に親から受け継いだ生命力としての「先天の気」と、出生後に 食事や呼吸によって外から取り込む「後天の気」に大きく分けられます。

出世後早期から成長障害がみられるなど、先天的に虚弱な状態が考えられる場合には『六味丸 (ロクミガン)』などを使用しますが、胃腸虚弱による吸収障害などが考えられる場合には、胃腸の 働きを補う『小建中湯(ショウケンチュウトウ)』は第一選択としてよく用いられます。一方、 胃腸虚弱などはなく、咽頭炎・中耳炎などを繰り返したり、扁桃腺やリンパ節の腫脹を繰り返したり する子どもには、『柴胡桂枝湯(サイコケイシトウ)』をはじめとする「柴胡剤(柴胡という生薬が 配合された漢方薬)」がよく用いられます。

小児は、成人と比べて体内水分量が比較的多いため、時に「水」のバランス異常による症状(「水毒」 といいます)として、乗り物酔い・めまい・ふらつき(特に天候不良時に悪化しやすい)などが起こり やすいです。この場合には、「水毒」を改善する生薬が配合された『五苓散(ゴレイサン)』『苓桂朮甘湯 (リョウケイジュツカントウ)』『半夏白朮天麻湯(ハンゲビャクジュツテンマトウ)』などの漢方薬を使用します。

入園や入学してから少し経ちましたが、お子さんがこのような症状で該当してお悩みの場合は、漢方薬も 一つの治療の選択肢として考慮されてもよろしいかと思います。