今回は子供の発熱に対する漢方薬をご紹介いたします。急性の発熱疾患は東洋医学的には「表証」であることが多く、治療は「麻黄(マオウ)」「桂皮(ケイヒ)」を含む漢方薬による発汗(「解表(ゲヒョウ)」といいます)を基本にします。私の症例ではありませんが、漢方薬が大好きな先生でお子さんをモルモット(失礼!)にしたケースを紹介します。

『3歳女児。幼稚園から帰宅してから、元気がない。抱くととても身体が熱く38度5分の発熱。汗はまったくかかない。機嫌も悪くない。』『麻黄湯(マオウトウ)』を3分の1包飲ませたが、全く汗なし。その後2~3時間ごとに内服させるも汗はなし。23時に1包飲ませた後、夜中に多量のおねしょをして、朝には解熱し、元気に幼稚園に行ったようです。

 通常は、汗をかいて解熱するのですが、子供や老人では、多量の小便(おねしょ)や泥状便で解熱することがあります。子供の分量は、小学生は2分の1・幼稚園は3分の1・それより小さい子は4分の1を目安としますが、急性期は2~3時間ごとに内服させてもよろしいです。

『5歳女児。幼稚園から帰宅に、何となくぐったりしている。39度の発熱、しかし、重篤な様子ではない。』 こちらもその先生の長女の症例ですが、『麻黄湯』を3分の1包を2~3時間ごとに内服させ、3回目でじわーっと発汗し、その後解熱し、翌日は幼稚園は休みで、次の日には元気に幼稚園に行ったとの事です。後日、母親が発熱し、インフルエンザと診断されたようです。

 昔は、カゼもインフルエンザも区別できませんでした。すべて急性発熱性疾患として治療したのです。「麻黄」を含む漢方薬を飲みすぎると、ドキドキ・ムカムカや胃腸障害が起こることがありますが、インフルエンザなど症状が激烈な場合は本来このような副作用が出やすい人でも結構一両日は飲めたりします。それでも、ドキドキ・ムカムカする場合は薬を変更するか、内服間隔を延ばしたりすればよいでしょう。

 急性発熱性疾患で『麻黄湯』を使用する目標は、汗がでない・悪寒がする・身体の節々が痛いといった症状ですが、汗が出るようになれば中止します。その後症状が長引く場合は、漢方薬は『桂枝湯(ケイシトウ)』『麻黄附子細辛湯(マオウブシサイシントウ)』などに変更します。

症例を示した娘さんたちは、頻回に発熱しても『麻黄湯』の内服でほぼ翌日には軽快し、小学生になっても皆勤賞だったようです。