いわゆる生理痛のひどい症状を月経困難症といいます。その中でも子宮筋腫や子宮内膜症などの器質的異常のないものである機能性月経困難症に関しては60~70%の症例に対し鎮痛剤の頓服で即効性はありますが、一時的な対症療法であり月経困難症そのものを引き起こさないようにさせる効果はありません。これに対し漢方治療は、冷え・頭痛・便秘などの随伴症状を同時に改善でき、服用しているうちに月経困難症そのものが出現しなくなったり、出現しても回数が減ったり症状が軽くなる場合があります。

 症状に焦点を絞った場合は以下の漢方薬が有効ですが、症状別に記載したものの実は非常に重なる部分も多く、様々な症状に1剤で対応できることがしばしばあります。

①下腹部痛
 痩せ型で冷え・むくみを伴う場合は『当帰芍薬散(トウキシャクヤクサン)』、ガッチリとした体形でお臍の周囲が押すと痛がる場合は『桂枝茯苓丸(ケイシブクリョウガン)』、便秘がひどい場合は『桃核承気湯(トウカクジョウキトウ)』などが良く用いられます。また、即効性を期待する場合にはこむらがえりの特効薬でも有名な『芍薬甘草湯(シャクヤクカンゾウトウ)』を併せて頓用してもらいます。「芍薬」と「甘草」の組み合わせには、筋の攣縮を和らげる作用があり、子宮の収縮痛にも有効です。

②頭痛が主体である場合
 『呉茱萸湯(ゴシュユトウ)』は、こめかみから後頭部の痛み、50歳以下で冷えがある場合に特に有効です。めまいや動悸を伴う場合には『苓桂朮甘湯(リョウケイジュツカントウ)』を併用すると、パニック症状を起こしやすい方にも有効です。 また、手足先の冷え、しもやけができやすい方には『当帰四逆加呉茱萸生姜湯(トウキシギャクカゴシュユショウキョウトウ)』が適応です。

③月経は過多である場合
 『芎帰膠艾湯(キュウキキョウガイトウ)』は不正出血にも使います。 また、『温経湯(ウンケイトウ)』『黄連解毒湯(オウレンゲドクトウ)』、心労があり睡眠障害を伴う場合には『帰脾湯(キヒトウ)』、過食・飲酒を好み便秘傾向のある場合は『三黄瀉心湯(サンオウシャシントウ)』などを用います。

 月経困難症に対する漢方薬の奏効率は80%とする報告もあり、単に鎮痛剤を使用するよりも有効かもしれません。