花粉症に対して『小青竜湯(ショウセイリュウトウ)』は「うすい鼻水が出るタイプのカゼ」によく用いられますし、アレルギー性鼻炎にも漢方薬としては頻用され、最近はドラッグストアにも見かけるほど有名です。しかしながら、スギ花粉症に対する『小青竜湯』の治療効果を検討した報告例では有効率は45%でした。

 今回は花粉症の辛い急性期を乗り切るために大阪の耳鼻咽喉科の今中先生が開発された『竜虎湯』に関してご紹介します。『小青竜湯』単独では有効で効かないに対して、「麻黄(マオウ)」「石膏(セッコウ)」が配合された『五虎湯(ゴコトウ)』を併用すると有効率が87%と飛躍的に向上したことで、『小青竜湯』と『五虎湯』の同時併用を『竜虎湯』と命名したそうです。

 ただし、この漢方薬は「麻黄」の量が多くなるため、「麻黄」で胃腸障害や動悸などが現れやすい方には不向きであるという欠点もあります。胃もたれタイプの方には『六君子湯(リックンシトウ)』+『麻黄附子細辛湯(マオウブシサイシントウ)』や『苓甘姜味辛夏仁湯(リョウカンキョウミシンゲニントウ)』に変更してみるとよいでしょう。以前漢方研究会で、「麻黄」の量が増えると副作用でどうしても飲めない方に『竜虎湯』の『五虎湯』を『釣藤散(チュウトウサン)』に切り替える方法について発表がありました。その先生は重症の高血圧症の方に『釣藤散』(早朝時の頭痛や高血圧によく用います)を服用してもらっていたところ、「最近、花粉症に悩まされない」というお話を聞いてから、「おや!」と思ったそうです。確かに『釣藤散』には、アレルギーの炎症に効きそうな生薬が実は含まれているのです。

 花粉症で目のかゆみを訴える方には『越婢加朮湯(エッピカジュツトウ)』が頻用されますが、こちらにも「麻黄」が多く含まれていますので、『釣藤散』単独や『釣藤散』+『小青竜湯』(『小青竜湯』の「麻黄」の量は少な目です)にするのも有効かもしれません。

 花粉症のシーズンには『竜虎湯』が登場する機会が多くなるかもしれませんが、ちなみに大阪の今中先生が阪神ファンにも関わらず、『虎竜湯』と命名しなかったのは、韓国の処方ですでに『虎竜湯』があるとのことで避けられたそうです。