気力が衰えた状態(漢方では「気虚」といいます)に対応しる処方のグループを 「補気剤」と呼びます。漢方医学では、気の取り込みは消化器官で行われると考え 、消化吸収機能の低下を改善する『四君子湯(シクンシトウ)』及びそこから派生 した漢方薬で解決を図ります。日々、気を消耗しながら生活している私達ですが、 不足しないでいられるのは補給ができているからで、その補給とは消化吸収にほか なりません。

つまり、消化機能(漢方では「脾(ひ)といいます)の働きを助けることが「補気」 (「気」を補う)につながるということになります。その代表選手が『四君子湯』 で、これに含まれる重要な生薬の一つが「人参」です。
「補気剤」には「人参」が配合されることが多いですが「黄耆(オウギ)」を併用することもあり、両者を配合した処方は『参耆(ジンギ)剤』と呼ばれ、 『補中益気湯(ホチュエッキトウ)』『人参養栄湯(ニンジンヨウエイトウ)』『十全大補湯(ジュウゼンタイホトウ)』などがあります。

 「人参」「黄耆」の違いは、前者は「不足した気を補充する」のに対し、後者 は「補充した気を巡らす」という効果です。例えて言うと、「人参」で「気(お金) を蓄える」、「黄耆」で「蓄えた気(お金)を運用する」といったところでしょうか。蓄えがないと生活できないですし、うまく運用できないと活気も生まれません。 「気虚」になればエネルギーが損なわれるのですから、全身倦怠感が現れることはよくあることです。しかし全身倦怠感の原因となるのは「気虚」だけではありません。 同じ「気」の異常でも「気うつ」という「気」が不足しているのではなく、「気」が局所に過剰になっているようなバランスの崩れた状態にも認められることがあります。 「気虚」と「気うつ」では対応が異なるため区別する必要がありますが、それではどのように見分ければよいのでしょうか。

 「気虚」は基本的に「脾」という消化機能の働きの低下で起こる現象ですので、「食事が入らない」「下痢が続く」などといった消化器の不調を確認することで、 「気うつ」と区別がすることができます。ただし、「気うつ」と「気虚」の両者が存在する症状もありますので、この点は注意を要します。 いずれにしても、消化機能を重要視しているのが漢方医学の特徴です。よく「病は気から」といいますが、「気は胃腸から」ともいえるわけですね。