腰からお尻、太ももの冷えと重だるさ|産婦人科コラム

腰からお尻、太ももの冷えと重だるさ

2009年05月08日
 

『56歳女性Nさん。半年以上前から急に眠れなくなった。その後、肩こりと項のこわばりを自覚し、左手のピリピリするしびれ感や左腕全体の重だるさを感じていたが、そのまま放置していた。
3ヶ月前からは腰からお尻にかけて重だるく、スースーと冷えるようになり辛い。また、右下肢にもしびれが出現したので、いよいよ整形外科を受診。特に異常はないと云われ、当院を受診。』

Nさんは夏でも腰にカイロを入れておかないと辛いそうです。
この方のように腰・臀部・大腿部のあたりがスースーと冷えて時に重だるいような場合には、『苓姜朮甘湯(リョウキョウジュツカントウ)』がよく用いられます。Nさんにもこちらを試してもらいました。2週間後、「冷えは変わらないけど、夜が少し眠れるようになりました。」との事。

かなり冷えが強い方なので、『附子(ブシ)』(以前に紹介済み)を加えてみることにしました。
さらに2週間後、「腰回りの冷えはだいぶよくなったのですが、最近動悸がするんです。」と『附子』の副作用も出てきたので、『附子』の量を少し減らしてみました。これが功を奏したようで、腰の冷えと右下肢のしびれや不眠は改善したようです。

数ヵ月後、肩こりとウエストのあたりの重だるさが残って気になるということで、お腹を触ってみました。下腹部がフニャっとしていて弾力がないんですね(これを漢方用語で「小腹不仁」(ショウフクフジン)といいます)。

このサインがある場合には『八味地黄丸(ハチミジオウガン)』が有効なことが多く、Nさんにも『苓姜朮甘湯』に併せて飲んでもらうことにしました。3ヶ月後、とても調子がよいとの事で、肩こりや腰の重だるさもとれたようです。

『八味地黄丸』は、下半身(特に膝から下)の冷えに有効なことで有名ですが、時に足底のほてりをともなう高齢者の肩痛にも効きます。「小腹不仁」はこの薬を使うかどうかの指標となります。お腹を触る(腹診)のは和漢医学の手法の一つですが、私自身は何度かこのおかげで投薬処方の重要な手がかりを得ていますね。

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