立ちくらみ・起立性調節障害と漢方薬|産婦人科コラム

立ちくらみ・起立性調節障害と漢方薬

2015年05月02日
 

『16歳Mさん。1年前位から朝がだるくて起きられない。起床後も数時間はボーッとしてフラフラする。通学の途中でしばしば気持ち悪くなり、座り込んでしまうこともある。学校の朝礼では立っていれずに倒れてしまう。複数の病院で起立性調節障害と診断されて治療を受けたが改善しなかった。通学できずに半年休学中の状態。母親とともに漢方薬を試してみたい意向で来院。』

Mさんには『半夏白朮天麻湯(ハンゲビャクジュツテンマトウ)』を処方し、二週間後「立ちくらみが少し軽くなった感じがする。」との事で、さらに二週間追加して「通学できるようになった。食欲も少し出てきた。」と話してくれました。2ヶ月後、「朝礼も大丈夫で、頭痛もしない。立ちくらみはもう大丈夫みたい。」と笑顔を見せてくれました。

立ちくらみ・起立性調節障害・起立性低血圧では、内耳や中枢神経系の障害を見落とさないように留意しなければなりませんが、大きな異常がなく、しかも西洋医学的な治療で十分な効果が得られないケースなどには、漢方治療を試みてもよろしいかと思われます。

立ち上がる際に眼がくらむような場合には『苓桂朮甘湯(リョウケイジュツカントウ)』、虚弱体質で長い間立っていると気分が悪くなる場合には『半夏白朮天麻湯』をまず試してみるとよいでしょう。頭痛・吐気・むくみなどを伴う場合は『五苓湯(ゴレイサン)』を併せて処方したりします。痩せていて低血圧傾向の場合には『真武湯(シンブトウ)』を用いることがあります。

Mさんに処方した『半夏白朮天麻湯』は「補剤(ホザイ)」(体内の不足しているものを補う働きをする漢方薬)の一種なので、有効な場合には、食欲が増したり、体調が全般的に改善されて身体が丈夫になることも期待できる漢方薬です。虚弱体質で立っていれないという人には、これ以外の「補剤」で『補中益気湯(ホチュウエッキトウ)』『十全大補湯(ジュウゼンダイホトウ)』が有効な場合もあります。

起立性調節障害は小児から思春期ころに多くみられますが、春から夏にかけて症状が悪化しやすいようです。朝寝坊で夜更かしタイプで、低血圧傾向であり、朝は起きれなくて、身体がだるい。食欲がない。夕方から調子がよくなり、夜は眠れないという人が多いです。また、甘い物を好み、運動不足のため低体温で冷え症の傾向もよくみられます。こういう人には、甘い物の摂取を控えさせ、歩行などの運動や体操、入浴による軽い発汗を促すことも有効です。

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