夏場の冷えと漢方薬|産婦人科コラム

夏場の冷えと漢方薬

2016年08月12日
 

『40歳Nさん。最近、知人に勧められ水を多く飲むようになった。 元々やせ型で冷え性だが、夏に入り夏バテ気味なので、栄養をつけようと この1週間スイカなどの果物を連日食べ、昨日はかき氷を食べたところ、 胃がつまった感じで苦しくなり、シクシク痛むようになり、内科で以前 もらった薬を飲んだが、効果が今一つで来院時についでに?漢方薬を希望。』

Nさんの場合、元々冷え性で胃弱の人が冷たい物を摂り過ぎた結果、 漢方医学でいう「胃寒証」の状態と思われたので、こういう場合の第一選択 薬である「人参湯(ニンジントウ)』を処方しました。結果は一週間で症状で 改善したようでした。

最近は、血栓予防のため水をいっぱい飲むことを推奨し、体質に関係なく ドンドン水分を採る人が増えてきました。漢方医学的には「熱症」または 多血症傾向にあれば、ラジエーターの役割として水を多く採ることは理に かなっていますが、「虚症」タイプ(詳しくは以前の号)で冷え性の人の 場合はどうでしょうか?

冷え性で悩む方は一年を通じて絶えないようですが、特に夏場は体温を超える 暑い戸外と冷房の効きすぎた室内などの激しい温度差、冷たい飲み物の摂り 過ぎ、暑い夜の睡眠不足などの外的要因によって体温の調節をしている 自律神経がバランスを崩し、冷え性になる人が多くなりがちです。

冷たい物を摂取したことによる胃腸障害には『人参湯』『六君子湯 (リックンシトウ)』などの「人参」を含む漢方薬が有効ですし、 クーラー病として冷えなどには『当帰芍薬散(トウキシャクヤクサン)』 『五積散(ゴシャクサン)』など用いられます。

現代人は外の暑さから身を守る知恵と技術を持ち、外に対しては より涼しい場所へ、最終的にはクーラーの効いた部屋で過ごし、内に 対しては身体の芯を冷やすために冷たい物を多く採るようになり、 その結果として、夏なのに「冷え」という病態が特に「虚証」傾向の 人には起こりやすくなります。

体質に合わせた避暑法を取りたいものですが、私自身「虚証」タイプでは ありませんが、クーラーの効いた部屋でアイスキャンディーを2本食べた 後は、こっそり『人参湯』を一包飲んでいます(笑)。

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