蕁麻疹(じんましん)と漢方薬|産婦人科コラム

蕁麻疹(じんましん)と漢方薬

2019年06月06日
 

蕁麻疹は、ありふれた疾患でありながらその病態には未知の部分も多く、症状の現れ方や治療の内容にも大きな違いがあります。一般には皮膚マスト細胞から放出されるヒスタミンなどの活性物質が組織に作用して知覚神経を刺激してかゆみを生じ、微小な血管の拡張や血管内の成分の漏出によって発赤・紅斑や膨疹などを生じますが、アレルギーや外部からの機械的刺激によるもの、アスピリンなどの非ステロイド性消炎鎮痛剤による刺激誘発型の他にも、明らかな原因がなく自発的に出現するものもあり、それらを明らかにすることも重要です。

通常は抗アレルギー薬・抗ヒスタミン薬を使用することが多いのですが、漢方薬では熱をもって浮腫があるタイプの急性蕁麻疹には、『越婢加朮湯(エッピカジュツトウ)』を使用することが多いです。また、尿量が少ない場合で便秘傾向の方には『茵蔯蒿湯(インチンコウトウ)』を、喉が乾きやすい方には『茵蔯五苓散(インチンゴレイサン)』などを使用します。後者には、『十味敗毒湯(ジュウミハイドクトウ)』と併用することもありますが、これらは急性・慢性いずれの蕁麻疹にも使用されます。

また、『柴苓湯(サイレイトウ)』は紅斑や紅斑のような結節のある蕁麻疹や結節性紅斑の治療にも効果的なことがあると言われており、さらにアレルギー性血管炎に対する有効性も報告されています。

ストレスや精神症状が関与している方の慢性蕁麻疹には『抑肝散(ヨクカンサン)』、赤ら顔でのぼせやすく、下腹に圧痛があるニキビやしみが多い方の蕁麻疹には『桂枝茯苓丸加薏苡仁(ケイシブクリョウガンカヨクイニン)』が効果的です。「薏苡仁」はハト麦の皮をむいた種で古来からお肌に用いられた生薬です。抗ウイルス作用や抗炎症作用や利水(水のバランスを整える)作用もあり、水イボや症状の強い伝染性紅斑に有用なことで皮膚疾患にはよく用いられます。

西洋医学の治療に抵抗する慢性蕁麻疹は高齢者にもしばしばみられます。漢方薬は乳児にも有効なことが少なくありません。年齢に関係なく試みることができますので補助・代替医療の一つとして考慮されてもよろしいかと思います。

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