卵巣は子宮の左右に一つずつあり、大きさは通常2~3cmぐらいです。ここに発生した腫瘍が卵巣腫瘍であり、大きいものでは30cmを超えることもあります。卵巣腫瘍には様々な種類がありますが、その発生起源から表層上皮性・間質性腫瘍、性索間質性腫瘍、胚細胞腫瘍などに大別され、それぞれに、良性腫瘍、境界悪性腫瘍、悪性腫瘍があります。
症状には「お腹が張って苦しい」、「下腹部痛」、「頻尿」などがありますが、小さいうちは無症状で経過することが多く、大きくなったり腹水がたまったりしてから症状が出現することが多いのです。時に腫瘍が破裂したり、茎捻転といって腫瘍がお腹の中でねじれてしまうと突然の強い下腹部痛が出現することもあります。
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漿膜下筋腫(しょうまくかきんしゅ)
袋の中に嚢胞内部に黄色い透明な液体がたまる腫瘍で、袋は一つのことが多く、卵巣嚢腫の約25%を占めます。
袋の中にゼリーの様なものがたまっています。多くの場合沢山の袋でできて、卵巣嚢腫の約20%を占めます。
袋の中に髪の毛や油や骨など人の成分と同じようなものがたまってきます。大きさは通常、直径10cm以下。比較的頻度の多い病気で珍しいものではありません。
充実性腫瘍(じゅうじつせいしゅよう)
充実性腫瘤は、いわゆる「しこり」のことで、悪性は「乳がん」、良性は「線維腺腫」や「葉状腫瘍」などである可能性がありますので、明らかに良性のもの以外は精密検査を受ける必要があります。
良性と悪性の中間に位置づけられる腫瘍群で、子宮、両側の卵巣・卵管、大網を切除することが基本となります。
卵巣がんは、初期の場合なら完治率も高くなりますが、進行すると、おなかの中にがんが広がる腹膜播種(はしゅ)が生じやすくなります。また、胃から垂れ下がって大腸小腸をおおっている大網、おなかの大血管の周りにある後腹膜リンパ節、大腸、小腸、横隔膜、脾臓(ひぞう)などに転移することがあります。
通性の卵巣腫瘍と考えられる場合には、体への負担が軽い腹腔鏡手術が適応となります。腫瘍の大きさや性状、腹部手術の既往などによりその適応は制限されていますので、担当医とよくご相談頂くことになります。
しかし、悪性を疑う場合には、子宮、両側の卵巣・卵管、大網(胃と大腸の間の膜)を切除することが基本となり、適切な医療機関を紹介いたします。