不眠と慢性の咳に悩まされる|産婦人科コラム

不眠と慢性の咳に悩まされる

2016年03月08日
 

『51歳女性Yさん、ご主人の転勤以後、同居の義母の介護のため精神的にも肉体的にも 負担が多くなってきた。ここ一ヶ月前は寝つきが悪く、近医から睡眠導入薬を処方して もらっているが今一つの様子。また、喉に何かへばりついた感じがして咳が数ヶ月前 から断続的に続くため耳鼻咽喉科を受診するも器質的異常が指摘されず『半夏厚朴湯 (ハンゲコウボクトウ)を投与されるが無効。呼吸器内科を受診し、慢性気管支炎の 診断で加療を受け、やや咳は改善するも特に夜間の咳と不眠が持続し、ほてりも自覚 するために当科に来院。』

Yさんには舌診で乾燥している所見がありましたので、咳も考慮してまず『麦門冬湯 (バクモンドウトウ)』を処方いたしました。2週目で慢性の咳は7割ほど改善したが 不眠は今一つでした。そこで『六味地黄丸(コクミジオウガン)』を伴せて処方しま したところ、さらに2週目で咳は消失し、不眠は3日目位からかなり改善され「足の ほてりが無くなって熟睡できる。」との事。1か月内服してかなり調子が良いようなので、 不眠が出現したときに、漢方薬を数日服用してもらうように指導いたしました。

今回併用した『六味地黄丸』は「補腎(ホジン)」作用を有し、Mさんのような夜間の 足のほてりがある場合などは有効で、更年期障害で加齢に伴う症状に対していわゆる アンチエイジング的な効果をもたらします。以前ご夫婦で来院された方に一緒に内服 してもらい、ご夫婦とも調子が良くなった例も経験しています。女性だけでなく男性 にも有効です。

更年期周辺の年代の慢性の咳に対しては、内科的な切り口で対応可能なのか、婦人科 的な見地から何らかの対応が求められる状態なのか判断に迷う例も多いですが、まずは 呼吸器内科できちんと診ていただいてから、他科に相談するのがよろしいかと思います。

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医療法人社団 公和会 中村記念愛成病院
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