口内炎と漢方薬|産婦人科コラム

口内炎と漢方薬

2020年04月09日
 

口内炎は、口腔や舌の粘膜に発症する炎症の総称ですが、最も頻度が高いのはアフタ性口内炎です。 発送のメカニズムは、偏食による鉄分やビタミンの欠乏・ストレスや睡眠不足・不正咬合(かみ合わせ) ・唾液の不足や口内乾燥・口腔内の不衛生・歯磨き粉成分による粘膜の損傷などいろいろと考えられていますが、正確には解明されていません。

漢方医学では、このような原因からではなく、生体の免疫反応からアプローチし、「気」が不足している、つまり、免疫力が落ちている場合には、免疫力を補う「補剤」を用い、炎症が盛んに起こって抗病反応がさかん(炎症が激しい状態)である場合には、その炎症を鎮める「清熱剤」を用います。また、この両者が混合した病態の場合には「補剤」と「清熱剤」の両者を使用する場合もあります。また、口腔粘膜や舌は消化管ととらえるので、「脾(ひ)」(漢方では「消化機能」の総称)を補うことで治癒を促進する考え方もあります。

ライフステージからみると、思春期の口内炎は「清熱剤」である『黄連解毒湯(オウレンゲドクトウ)』を中心とし、老年期には「脾」を補う『人参湯(ニンジントウ)』や『六君湯(リックンシトウ)』を中心とすることが多いです。成熟期には、やや補いながら清熱する『半夏瀉心湯(ハンゲシャシントウ)』を、更年期には『加味逍遥散(カミショウヨウサン)』の場合が多いです。

飲み方のコツですが、漢方エキス剤の場合ならば、湯に溶かして(水にいれてからレンジで温めるのがオススメ)から冷やして口内に含むようにして飲んだり、それを氷にして口に含んだりすると良いでしょう。『黄連解毒湯』『半夏瀉心湯』を用いる場合には、しみることがあるので、まずしみて痛みがでるかどうかを試してから服用を続けて下さい。

よく癌化学療法後にみられる多発性潰瘍の場合には、水を飲むのも困難な場合があるので、鎮痛作用と 粘膜保護作用のある『甘草湯(カンゾウトウ)』や『桔梗湯(キキョウトウ)』からまず始めてみるのが よろしいと思います。

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