慢性疲労?(その1)|産婦人科コラム

慢性疲労?(その1)

2007年04月10日
 

『34歳Nさん。二人目の子供がほしく、元々生理も不順なので産婦人科でいろいろ治療を受けたが、はかばかしい結果は得られず。友人に紹介され、他院で当帰芍薬散(トウキシャクヤクサン)と小建中湯(ショウケンチュウトウ)を処方されて1年間飲んだが生理の具合もよくならず、妊娠もしなかった。最近はひどく疲れやすく、下痢もしやすく、体重は5キロ減ってしまった。妊娠も希望されて、かつ体調不良もあり、当院に受診。』

Nさんは、来院時にかなり妊娠にこだわりを持っていたので、『温経湯(ウンケイトウ)』(以前に紹介)を2週間処方してみましたが、何の変化もみられませんでした。そこで体力低下と下痢に加えて、めまいがよくあるというので、『人参湯(ニンジントウ)』と『真武湯(シンブトウ)』に変更してみました。

この処方に変えて2週間でめまいが治まり、下痢も良くなり、クタッとした疲れやすさが減り、家事もかなりこなせるようになったとの事。現在、薬を飲み始めて半年ほど経過しましたが、いつのまにか生理不順は解消されていました。妊娠はまだしておりませんが体調はいいようです。

『人参湯』の効く人は、いかにも力のおぼつかない印象はたしかにありますが、あまり「スタミナのなさ、体力のなさ」を強調して処方すると、こういう方はたいていイヤな顔をします。

多分、自分でもこの点は十二分に承知していて愛想がつきているのでしょうね。『人参湯』は、古来は下痢や嘔吐などで体力消耗した人を回復させるところに目的がありましたが、人参が今やいわゆる滋養強壮薬の代名詞のように扱われているのも事実です。

Nさんのケースは全体の効果が目に見えるようになるのに半年かかったことになります。よく「漢方薬はゆっくり効く。効果がわかるのに半年かかる」というのはこのことだろうと思います。これは「手応えがみつかるのに半年」ではありません。

最近は効かなくても平気で飲み続けさせる治療法が多いせいか、効いても効かなくても同じ薬を疑問を持たずに飲み続けている人が多いような気がするのは私だけでしょうか?

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医療法人社団 公和会 中村記念愛成病院
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